糖尿病のお話 -糖尿病と熱中症- 東洋医学研究所?グループ二葉はり治療院 院長  中村 弘典
2010-08-01 20:46
東洋医学研究所
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平成22年8月1日号


はじめに
 前回の糖尿病のお話では、糖尿病を持っていても健康人と同様に、元気よく長生きできることをお話させていただきました。
 今回は、糖尿病のある人は暑い夏に熱中症を発症しやすいことが解っていますので、熱中症の注意点について述べさせていただきます。

糖尿病患者の多くは、熱中症の危険性に気付いていない?
 糖尿病患者は高血糖のコントロールが不良になるだけでなく、発汗能力が弱く、暑さによる疾患に罹患しやすいことを、米メイヨークリニック(アリゾナ州フェニックス)のAdrienne Nassar博士は述べています。
  Nassar博士は、糖尿病患者152名の調査を分析した結果、患者の20%は気温が約38℃になるまで予防措置をとらないことが解り、実際には湿度の影響が大きく、27℃程度であっても熱中症になり、暑い季節には救急治療室を訪れる糖尿病患者数が増加していると報告(本年6月の米国内分泌学会年次集会)されています。
 糖尿病患者は合併症である神経障害により発汗能力が低下している可能性が高く、熱中症による自覚症状も発症しにくいことも考えられ、充分な注意が必要であると思います。


熱中症って?
 熱中症は日射病や熱射病など、暑い環境で発生する体の障害の総称です。
 毎年、暑くなってくると「子供が車内で熱中症になって重体」「蒸し暑い部屋でお年寄りが倒れていた」「バーベキューや海のレジャーで気分が悪くなった」など、ニュースになる病気です。

なぜ熱中症になるの?
 熱中症は、高温・多湿により体温を調節する機能が制御不能になることで引き起こされます。 体温調節ができなくなると、気温の上昇に伴って体温がどんどん上がり、体の機能に様々な障害が生じるのです。
 私達の体は、体温が上がり過ぎると皮膚から熱を放出したり、汗をかいたりすることで体温を正常に保っています。しかし、気温が体温より高くなると空気中へ熱を放出しにくくなります。さらに湿度が70%を超えると汗をかいても蒸発しにくくなってしまい、発汗による体温調節が困難になり、体温を正常に保つことが出来なくなってしまいます。

熱中症の諸症状(要注意!)
   熱中症の代表的な症状を挙げます。
   症状の度合いによっては命に関わることもあるため、迅速な対応が必要です。
・熱失神
   暑さによって皮膚血管が拡張し、血圧が低下することで起こります。 脳の血流が減少して、めまい・失神などの症状が現れます。顔面蒼白になって、脈が速くそして弱くなります。
・熱けいれん
   炎天下での運動や労働中に起こりやすい症状です。汗と一緒に塩分が放出されるため、血液中の塩分濃度が低下して、足、腕、 腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんが起こります。水やお茶でしか水分補給をしなかった場合にも起こります。
・熱疲労
   発汗や水分不足によって起こる、いわゆる脱水症状です。 大量の汗がでて、体温は平常か高め、皮膚や顔色が青白くなります。 脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などがみられます。 熱疲労は熱射病の前段階ともいわれ、この段階で処置することが重要です。
・熱射病
   意識障害(反応が鈍い、言動がおかしい、意識がない)が起こり、死亡率も高くなるため、応急処置とともに救急車の手配も考慮した方がいいでしょう。

熱中症の応急処置
 「何かおかしい?」そんな時に自分でも出来る応急処置は次の通りです。
  ・涼しい日陰やクーラーの効いた場所へ移動する
・衣類をゆるめる(胸元、袖口、ベルトなど)
・氷や水でぬらしたタオルで、手足や首を冷やす
・スポーツドリンクなどで、水分を補給する。(塩分も失われるので、補給する)
・熱けいれん けいれんしている部分、特に冷えている部分をマッサージする。
・熱疲労 仰向けに寝かせて、足を心臓より高くする。少しずつ薄い食塩水かスポーツドリンクを飲ませる。
・熱射病 上半身が高くなるように休ませ、首・脇の下・足の付け根などを集中的に冷やす。 氷がなければ水を体に吹きかけて風を送って冷やす。

熱中症にかかりやすい人
  ・暑さに慣れていない人 
  ・熱中症になったことのある人
  ・太っている人・高齢の人 
  ・高血圧・血管障害・糖尿病などの人
  ・体調不良の人
  ・我慢強い、真面目、引っ込み思案な性格の人
  ・風邪など発熱している人 
  ・熱を吸収し、保熱しやすい服装をしている人

熱中症を予防しよう
・体調を整える
   寝不足・体調不良・カゼ気味など、体調の悪い時は外出を控えましょう。 体力が低下すると熱中症になりやすくなります。
・服装に気をつける
   通気性の良い服装で、日傘や帽子もうまく活用しましょう。
・こまめに水分補給
   喉が渇いたと感じた時には、既にかなりの水分が不足しています。 マイドリンクを持ち歩いてこまめに補給しましょう。
・レジャーやスポーツの必需品
   タオル・冷たい水を入れた水筒・氷や保冷剤・スポーツドリンクなどを持参しましよう。

高齢者の熱中症
   高齢者の方は次のような落とし穴によって、屋外だけではなく室内でも熱中症を発症する場合があります。
・汗をかく等の体温調節機能が低下する
・暑さを感じにくくなる
・喉の渇きを感じにくくなる
 また、「冷房は体に良くないから・・・」と避けているうちに体温が上がりすぎて熱中症になることもあり、定期的に水分を取り、冷房器具をうまく使うことが大切です。

おわりに
 以上、熱中症にについてお話をさせて頂きました。
 糖尿病を持っていると、健康人において現れる熱中症の症状が発症しない場合がよくあります。普段から、今回述べさせて頂いたことを十分に注意して頂くことと、鍼治療により体調を良好に維持すれば安心です(研究室を参考にして下さい)。
 鍼治療は身体を健康に保つ一 手段として有効な治療法です。是非、東洋医学研究所?グループ の全身調整を目的とした 鍼治療(生体制御療法)を受けられることをお勧めいたします。
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