笑門来福9
2016-05-30 08:05
東洋医学研究所
記事に戻るコメント(0)を読む・書く
今回で、9回目となりました笑門来福。      

昨年11月にも、講演の依頼を受け、「笑いと健康」と題し、浜松市南区でお話させていただきました。
基本的に笑うことが、体に良いというテーマですから、お話の内容も笑えるような内容でないと意味がありませんので、笑えるようなお話を毎回心がけています。

今回は東洋医学研究所?の「糖尿病キャンペーン」にちなんで、笑いと糖尿病についてお話させていただきます。

わたくしは、以前のコラムで笑うと血糖値が下がるということを紹介させていただきましたが、笑いと健康については、筑波大学名誉教授の村上和雄先生らが行った実験が有名で、笑うことで血糖値を下げられることが明らかになりました。

糖尿病患者が吉本新喜劇のお笑いステージを見て大笑いをした後で、血糖値を測定したところ、食後血糖値は下がっていました。

このことは、昨年12月に東洋医学研究所?ホームページの糖尿病通信9で「笑いの効用」として(公社)生体制御学会研究部生活習慣病班班長の山田篤先生も取り上げていました。

笑うと血糖値は下がるということを研究されたのは、村上和雄筑波大学名誉教授が代表を務められている国際科学振興財団の「心と遺伝子研究会」です。
実験に参加したのは中高年の2型糖尿病患者21人で、2日間にわたって行われました。初日は、昼食直後に40分間専門的な講義を受けてもらい、翌日は、同じく昼食直後に40分間、漫才コンビのB&Bのテンポのよい漫才を鑑賞して思う存分笑ってもらうというもので、それぞれ、食前と講義・漫才鑑賞後(食後2時間後)に血糖値を計測しました。
その結果、漫才を鑑賞した場合で食後の血糖値上昇が大幅に抑えられました(グラフ)。




村上和雄先生は、「この実験から、"笑い"によって多くのよい遺伝子のスイッチがオンになるという世界で最初の結果が得られた。」と語っておられます。

笑いは、お金もかからず、いつでも、どんな時でも取り出せる。しかも家に置き忘れてしまうこともない。その効果は、ストレスの管理から、血圧、血糖値、コレステロール値、膠原病・・・と、挙げるときりがない、まさに魔法の薬。

実際に膠原病を笑って治したことでノーマン・カズンズ博士が世界的に有名ですが、この闘病記を皮切りに世界中で「笑いの健康効果」についての医学的な研究が始まったようです。

アメリカのロマリンダ大学のリー・ベルク博士らが「毎日の笑いは、糖尿病患者の血中コレステロール値の改善を助け、心臓発作のリスク低減にもつながる」という研究を2009年の米国生理学会(APS)年次集会で発表されました。

この研究は2型糖尿病で高血圧と高コレステロール血症のある成人患者20人(平均年齢50歳)を対象に行われました。参加した患者は糖尿病の治療を受け、降圧薬とコレステロール降下薬を服用していました。
参加者を、生活に積極的に笑いを取り込む笑い群と対照群の2群に無作為に割り付けました。笑い群には、テレビのお笑い番組やビデオのコメディ映画などを自分で選び、毎日30分以上視聴するように指導しました。通常の治療は、笑い群と対照群の両方に続けました。
12ヵ月後に、コレステロール値と心疾患との関連性が示される炎症マーカーであるC反応性タンパク(CRP)値を比較しました。
笑い群では善玉のHDLコレステロール値が26%増加しており、対照群の3%増に比べて有意な改善がみられました。CRP値も、笑い群では66%の低下に対して、対照群では26%の低下にとどまっていました。
 
リー・ベルク博士は「笑いは炎症性の刺激を抑え、善玉のコレストロールを増やし、結果として心臓病のリスクを減少させるという結果になりました。笑いには健康維持や治療改善に効果がありますが、受けている治療に対する付加的効果もあると考えられます。また、糖尿病や高血圧症は自己管理がつきまとう病気ですが、多くの患者はそれが原因でストレスに悩まされています。笑いには、ストレスを解消し、緊張をやわらげる作用があります。治療が長期にわたる疾患では、笑いを生活に取り入れて、ストレスをコントロールすることが大切です。」とコメントされています。


黒野保三先生を中心とする我々東洋医学研究所?グループでは、体の不調で笑顔をなくしてしまった方に、笑顔を取り戻してもらうために日々研鑽しています。
鍼治療により、体調が回復し笑顔が戻ってくると、相乗効果で益々調子が良くなってくることを、日常の診療で数多く経験しています。
鍼治療は、人生に笑顔をたくさん咲かせる方法です。「最近笑ってないな。」と感じたら鍼治療をお試しください。

引用・参考文献
・村上和雄「笑う!遺伝子‐笑って、健康遺伝子スイッチON」(一二三書   房)2004年
・ノーマン・カズンズ(松田銑訳)「笑いと治癒力」(岩波書店)2001年
・American Physiological Society (2009, April 17). Laughter Remains Good Medicine.Science Daily. Retrieved August 26, 2011,
記事に戻るコメント(0)を読む・書く
検索
キーワード

カテゴリ
よくある質問 (10)
コラム (99)
患者さんの声 (106)
活動内容 (33)
研究業績 (13)
糖尿病通信 (14)
講演・メディア掲載実績 (19)
適応症の治療案内 (103)
月別アーカイブ
2017年8月 (3)
2016年5月 (4)
2016年4月 (7)
2016年3月 (4)
2016年2月 (4)
2016年1月 (3)
2015年12月 (3)
2015年11月 (4)
2015年10月 (5)
2015年9月 (4)
2015年8月 (3)
2015年7月 (5)
2015年6月 (4)
2015年5月 (4)
2015年4月 (2)
2015年3月 (4)
2015年2月 (3)
2015年1月 (3)
2014年12月 (3)
2014年11月 (5)
2014年10月 (4)
2014年9月 (4)
2014年8月 (3)
2014年7月 (4)
2014年6月 (6)
2014年5月 (5)
2014年4月 (3)
2014年3月 (6)
2014年2月 (6)
2014年1月 (2)
2013年12月 (5)
2013年11月 (4)
2013年10月 (6)
2013年9月 (5)
2013年8月 (3)
2013年7月 (5)
2013年6月 (4)
2013年5月 (4)
2013年4月 (4)
2013年3月 (5)
2013年2月 (6)
2013年1月 (4)
2012年12月 (3)
2012年11月 (7)
2012年10月 (4)
2012年9月 (86)
2012年8月 (75)
2012年7月 (15)
2012年5月 (1)
2012年4月 (1)
2012年3月 (1)
2012年2月 (1)
2012年1月 (1)
2011年9月 (1)
2011年6月 (1)
2011年4月 (1)
2011年2月 (2)
2011年1月 (1)
2010年12月 (1)
2010年11月 (1)
2010年10月 (1)
2010年9月 (1)
2010年8月 (1)
2010年7月 (1)
2010年6月 (1)
2010年5月 (1)
2010年4月 (1)
2010年3月 (1)
2010年2月 (1)
2010年1月 (2)
2009年12月 (1)
2009年11月 (1)
2009年9月 (1)
2009年8月 (1)
2009年7月 (1)
2009年5月 (1)
2009年4月 (2)
2009年3月 (1)
2009年2月 (1)
2009年1月 (1)
2008年10月 (1)
2008年9月 (1)
2008年5月 (1)
2007年6月 (1)
2007年3月 (1)
2006年11月 (1)
2006年6月 (1)
2005年11月 (1)
2005年9月 (1)
2005年8月 (1)
2005年6月 (2)
2005年5月 (1)

友人に教える
お問い合わせ

ホーム
上へ
東洋医学研究所

東洋医学研究所
このサイトは携帯電話向けサイトです。
携帯電話でご覧ください。