運動しましょう!〜ミトコンドリアと活性酸素〜 東洋医学研究所?グループ 二葉鍼灸療院 院長 田中 良和 平成27年8月1日号
2015-08-01 08:04
東洋医学研究所
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◇前回コラムのおさらい◇
前回のコラムでは筋肉のメカニズムとミトコンドリアについてお話させていただきました。運動する時にはエネルギーが必要であり、その多くが細胞の中にあるミトコンドリアが担っているということでした。神経細胞や心臓、肝臓の細胞など活発に働く場所にエネルギー発電所であるミトコンドリアが多く存在します。その中でもカラダの原動力である筋肉細胞には多数のミトコンドリアが存在し、運動による筋肉の維持、増強がミトコンドリアの数を増やし、質を高め、元気で気力溢れる人生を過ごすことができるということでした。

◇ミトコンドリアで発生する活性酸素◇
人生良いことばかりではありません。良い出来事と悪い出来事が繰り返し起こるのが人生です。細胞の中でもエネルギーを獲得する時には、それ相応の対価を支払わなければなりません。それが活性酸素の発生です。紫外線を浴びる、化学物質である食事による残留農薬や食品添加物、タバコ、化学薬品、排気ガスなどの大気汚染物質が体内に入ってくるなど、カラダの外からの刺激で活性酸素が発生することもあります。食事をするだけでも活性酸素は発生しますし、呼吸においても、呼吸で得られる酸素全体の0.2%〜2%は体内で活性酸素に変わると言われています。この部分だけ見ても、食べ過ぎ、過激な運動は活性酸素を増加させカラダに悪いことが理解できると思います。

◇活性酸素のやりたい放題を防げ◇
活性酸素には段階がありスーパーオキシドアニオン→過酸化水素→ヒドロキシルラジカルと電子との反応が重なるごとに形を変え、ヒドロキシルラジカルはスーパーオキシドアニオンの100倍の酸化力(細胞傷害力)があります。しかし、活性酸素が生まれることは宿命づけられているため、カラダ側もこれに対処する能力をもっています。これがスカベンジャー酵素群(掃除する人という意味も持つ)です。これらがあることで活性酸素を無毒化しています。一部の報告では、このスカベンジャー酵素群の活性酸素分解率などの働きが、20代では95%、50代では50%、70代では10%となり、当たり前かもしれませんが、高年齢になるほどその働きは落ちていくようです。この機能を補うのは食物より摂取するスカベンジャー酵素である抗酸化物質、いわゆるビタミンEやビタミンCなのです。食事の内容も大切になってくるということです。ヒドロキシルラジカルまで進んでしまうと体内にあるスカベンジャー酵素群では対処できなくなり細胞を傷害することが確実となってしまうので、カラダには前もって、そこまで進まないように対処する能力が備わっているのです。

ミトコンドリア

◇大切なのは生活習慣の改善◇
陰があれば陽がある、光があれば影がある、活性酸素も実は適量であればカラダにとって有益なのです。この話は次回にしますが、活性酸素を大量に放出し細胞を傷害する=病気の原因をつくらないためには、食べ過ぎは控える、過激な運動を控える、タバコなど自分で対処でき、外から体内に入ってくる化学物質は気をつける、睡眠を十分とる(太陽とともに生活)、精神的ストレスを解消する、適度な運動で筋力を増強しミトコンドリアの数を増やし、また、質が低下し活性酸素を多く産生するミトコンドリアを除去し、高性能のミトコンドリアと新陳代謝させることが大切となります。

東洋医学研究所?グループが行う生体制御療法は健康管理を行うために適した鍼治療です。定期的な健康管理の鍼治療は、生活習慣の改善とミトコンドリア機能の改善の一助となることでしょう。


≪参考文献≫
・瀬名秀明・太田成男 著『ミトコンドリアのちから』新潮文庫 2007.9.
・石井直方 著『究極のトレーニング』講談社 2007.8.
・八田秀雄 著『エネルギー代謝を活かしたスポーツトレーニング』講談社 2006.2.
・大谷 肇 著『長生きしたければミトコンドリアの声を聞け』風詠社 2013.9.
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