人生百歳時代  東洋医学研究所? 所長 黒野保三 平成28年1月1日号
2016-01-01 08:24
東洋医学研究所
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平成28年1月1日
  
東洋医学研究所?
所長 黒野保三
 

謹賀新年 明けましておめでとうございます。
日本では昨今、百歳寿命の時代到来と言われるようになり、盛んに長寿の秘密の研究が進められるようになりました。
4人に1人が65歳以上の超高齢社会を迎えた日本。百寿者(百歳以上の人)も昨年過去最多の61568人に達し、現役医師日野原重明先生104歳も「100歳はもう当たり前、最低限度です、100歳は」と言っておられます。
身体機能の低下など、誰でも不安を感じる老い。しかし、1000人以上の聞き取り調査から「老年的超越(加齢に伴って幸福感が高まる)」と呼ばれる豊かな精神的時代になったことが明らかになったのです。幸せな長生きのすすめ、高齢者の処方箋が見えてきたのであります。
日本の平均寿命は年々増え続け、2014年には男性は80.50歳(世界3位)、女性は86.83歳(世界1位)になりました。
平均寿命が延びるにしたがい、日常生活を制限なく自立して過ごすことのできる健康寿命との差が大きく開き、男性は約9年、女性は約12年となりました。
誰しもが、老いて家族に迷惑を掛けたくない、ピンピンコロリを望んでいます。いかに健康寿命を延ばすかが課題となっております。

平均寿命と健康寿命(2013年データ)
 
このような時代に2000年前からとも3000年前からともいわれる歴史がある鍼治療がどのようにかかわって人生百歳時代に貢献していくことができるのか、大いに鍼治療の研究を進めていかなければなりません。
東洋医学研究所?では、1986年9月7日から1988年9月30日までの2年間、マウスの一生(マウスの寿命は約2年半といわれている)に週2回の鍼治療を施す研究を行いました。その結果、鍼治療を施したマウスでは、鍼治療を施さなかったマウスに比べて老化を遅らせることが明らかでした。

    
マウスに鍼治療を施しているところ

 
 鍼を施したマウス(下)は、鍼を施していないマウス(上)に比べて毛並もよく若さを保っている

昨年の7月に日英研究チームによって、百寿者684人を含む1554人の日本人を10年以上追跡した長寿の秘密を探る大規模研究で解明された2つの鍵「慢性炎症を抑えれば余命が長くなる(日常生活の自立度や認知機能もよく保たれる)」、「長寿の家系は染色体の端にあるテロメアが短くなりにくい(細胞が老化しにくい)」が発表されました。

慢性炎症とは、自覚症状がないまま全身で徐々に進行する血管や臓器の炎症です。やがて様々な病気を引き起こす原因になります。免疫の働きが低下したり、細胞の老化によって、炎症物質がたくさん分泌されるようになることも慢性炎症の原因です。慢性炎症が低ければ、健康で長生きできることが示されました。
テロメアとは細胞の核にある染色体の末端部分で、DNAの同じ配列が多数繰り返されている部分です。このテロメアは、細胞分裂のたびに短くなり、限界に達すると分裂が停止します。これが細胞の老化だと考えられています。テロメアが短くなりにくいことは、細胞が老化しにくいことを示すと考えられています。

鍼治療の原則は病気にならない身体を作ること(未病治)が第一で、第二に病気を治すこと、第三にこれ以上病気を悪化させないことであります。
鍼治療が幸せな人生百歳時代を支える有力な一助として貢献できることを願っております。
本年も、病気にならない身体、長寿を目的とした鍼治療を週2回以上受療されまして、百歳を超える幸せな人生を送ってください。
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