糖質を制限して肥満を解消しよう 東洋医学研究所?グループ 二葉鍼灸療院 院長 河瀬 美之 平成28年9月1日号
2016-09-01 13:35
東洋医学研究所
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はじめに
肥満によって高血圧や糖尿病などの生活習慣病を発症させ、その結果、動脈硬化が進行して脳血管障害や心臓疾患を起こしてしまい、健康寿命を縮める結果になります。
そこで、肥満を解消するには適度な定期的な運動が一番良いことを前回のコラムでお話をしました。しかし、頭では良いとわかっていても長続きしないで失敗に終わる例が多いのが現状です。私事ですが、ウォーキングを続けるぞと思って5年以上が経過しましたが、今になって週に2〜3回、1時間ほどできるようになったくらいです。当院の患者さんで私の言葉で続けられるようになられた方はわずか2人です。運動はよほどの信念がないと続かないことを実感しています。
今回は食事の面での肥満解消、特に糖質オフについてお話をしたいと思います。

糖質とは
カロリーをオフにすれば痩せられることは誰でも理解できます。糖質とはどのような作用があるのでしょうか?
1.インスリンの作用
食事をすると血糖値が上がり、これを身体の隅々の細胞に届けるためにインスリンが膵臓から分泌されます。適度の糖質摂取であれば問題ないのですが、過剰に摂取するとインスリンが過剰に分泌されて体脂肪を合成してしまいます。つまり、インスリンは肥満ホルモンであり、糖質を過剰に摂ると、この作用によって太りやすくなります。
2.食欲とのかかわり
以前までは食欲は血糖値の上下だけで説明されてきましたが、現在では胃腸から分泌される消化管ホルモンの関係も報告されています。糖質を過剰に摂ると脳の摂食中枢に働きかけて、食欲を促すグレリンというホルモンが出やすくなり、食欲を抑えるペプチドYYというホルモンが出にくくなります。つまり、糖質だけを摂ると空腹感が高まり、食べ過ぎるわけです。タンパク質や脂質を摂ると逆に、グレリンを抑え、ペプチドYYの分泌を増やします。

糖質制限ダイエットとは
糖質をカットすれば痩せられるから、糖質である主食のご飯やパンなどを全く摂らずに代わりに野菜、海草、きのこなどの副菜をたっぷり食べるという人も多くいます。しかし、ご飯類を食べないと、筋力低下、めまい、無気力などの症状が出てしまうという落とし穴があります。
日本人は総摂取カロリーの約60%を糖質から摂っており、糖質(炭水化物)の目安量は1日に300g前後だと言われています。ところが、それ以上摂取している人の割合は40%以上いると言われています。
糖質にはご飯、パン、麺類などの穀類、イモ類、果物、お菓子などがあります。この糖質を減らすというのが糖質制限ダイエットなのです。
具体的には、1日280gの糖質を半分くらいに設定するのが無理がなくて長続きします。つまり、1日に140gくらいに設定すると、1食あたり40〜50gくらいです。

ご飯茶碗普通盛 糖質約50g
パン8枚切を1枚 糖質約20g

ということは、1食あたり、ご飯では普通盛りの半分くらい、パンは8枚切を1枚は食べることができるので、無理なく続けられるわけです。もちろん、この食事内容でしたら、間食も少しは許される計算です。

タンパク質や脂質は普通に食べる
生命を維持するために必要な最小のエネルギーである基礎代謝量は成人で1日1200〜1500キロカロリーです。その内訳は、肝臓が27%、脳が19%、筋肉が18%、腎臓が10%、心臓が7%となっています。ここで上位の肝臓、脳、筋肉をいたわりながら適度に使うことが基礎代謝を上げて、ダイエットにつながるのです。これら3つに必要な栄養素はタンパク質や脂質であり、これを減らすと、筋肉量が減り、基礎代謝が大きく下がり、肥満への道をたどって行くことになります。
糖質を半分に制限したら、タンパク質や脂質は今までより増量することがダイエットを成功させて、少しの気の緩みではリバウンドしないカギを握っています。

おわりに
きんさん、ぎんさんが以前、テレビに出演されていた時に、「食べ物で何が好きですか」という問いに「ステーキ」と答えられたのが今でも印象に残っています。タンパク質と脂質を摂り、野菜を多く食べることで健康維持ができる証拠であると思います。
運動を続けている人も続けていない人も、食事の内容で少し糖質を制限してみては如何でしょうか?まずは続けることが大切ですので、茶碗にご飯を盛る時に、ほんの少し少なめにすることで、かえって自分の食欲を抑えることができます。
どうしてもつらいと思われる人はしっかり食べて運動をすることが理想的です。ご自分のライフワークに合った運動や食事の制限で、健康で生き生きとした生活が送ることができるように考えていきましょう。


参考文献
厚労省 平成26年国民健康・栄養調査報告
山田 悟 糖質制限食のススメ 東洋経済新報社
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