「からだが硬い」を改善しよう 平成30年5月1日号 東洋医学研究所?グループ 二葉鍼灸療院  院長 河瀬 美之 
2018-05-01 07:18
東洋医学研究所
記事に戻るコメント(0)を読む・書く
はじめに
フィギアスケートの選手を見て、あれだけ足が上がるといいなと思います。そこまでいかなくても、膝を伸ばして前に倒した時に手の指先が床に付くくらいまでになりたいと思っているのは私だけでしょうか?若い頃はそれなりに柔らかかったのが、最近身体が硬くなってきたように思います。
身体が硬いとはどういうことなのか、どうすると改善されるのか・・。
今回はこのことについて述べてみたいと思います。

まず、こんなことできますか?
図1Aのように、足を肩幅に広げてまっすぐ立ちます。そして、掌を前に向けて両手を挙げて腕を耳にくっつけます。そして、その姿勢で腰を落としてスクワットをします。
腰を落とした状態でも図1Bのように正常な姿勢を保つことができれば柔軟性があります。しかし、スクワットをした時に両手が前にいったり、足首が曲がらない、膝が内側に入るなどの不良姿勢の人は柔軟性が悪いということになります。

図1 
身体を構成する組織について
身体を構成する組織を皮膚からみていくと、皮膚(表皮・真皮)、脂肪、筋膜、筋肉、関節(骨と骨を連結する靭帯や関節包)の順に存在します。この中で身体が硬い、柔らかいを決定づけているのが筋肉とそれを包む筋膜です。もちろん、皮膚や脂肪もある程度影響があります。また、神経(足でいうと坐骨神経)を取り囲む結合組織も身体の硬さに影響を及ぼす場合もあります。

なぜ筋肉や筋膜が硬くなるのか
すべての筋肉はコラーゲンとエラスチンという蛋白質でできた筋膜に包まれています。この二つが網目状に交叉してガーゼのようになって筋肉を包んでいます。
コラーゲンは弾力に乏しいが張力には強く、ちょうど麻の繊維と思ってください。一方、エラスチンは弾力性があるので伸びちじみが可能で、ゴムのように思ってください。この二つが入り組んで膜を作り筋肉を包んで、筋肉の動きに対応しています。
筋肉を適度に動かし、筋肉量が維持されている間は筋膜が適度に機能していますが、加齢や運動不足で筋肉量が減ってくると筋膜がたるんできます。肌のシワと同じように、筋膜にもシワができてしまいます。このシワを長期間放置しておくと筋膜が短くなり筋肉が伸ばせなくなるのです。これにより、血行も悪くなり筋肉も硬くなっていくわけです。

身体が硬いと怪我をしやすくなる
身体が硬いとちょっとした動きで痛みが出る場合があります。上の物を取って下した時に肩の筋肉を傷める、急ぎ足で歩いたらお尻の筋肉が痛くなった、下の物を取ろうとしたら腰が痛くなったなど・・。これらは身体が硬いことから生じる場合があります。また、筋肉が硬い人が同じ姿勢を長時間続けることにより筋肉の血行が悪くなり、肩こり、腰痛を起こしやすくなります。
したがいまして、身体を柔らかくすることで筋肉や腱(俗にスジともいいます)のトラブルを回避することができます。

改善方法
硬い身体を改善するにはストレッチが一番です。昔でいう柔軟体操です。しかし、筋膜にシワがよったような硬さに対してやみくもにストレッチをしても効果が少ないです。まず、ひきつれた筋膜のこりを取り除く必要があります。
そこで、まず、自分でできる運動を行った後にストレッチを組み合わせることで改善が期待できます。

足腰のストレッチ
足腰の衰えは寝たきりにつながります。ここでは、特に腰から下のストレッチをご紹介いたします。
散歩や、立ち仕事の途中や後に行っていただく簡単なストレッチです。
第二の心臓といわれるふくらはぎは硬くなると足のむくみやこむらがえりにつながります。ふとももの後ろの筋肉(ハムストリング)は歩行の際に足を地面に着地する時にスピードを緩め、スムーズな着地へと導きます。この筋肉が機能しないと足首や足の裏を痛めることがあります。そこで、この二つの筋肉を一度にストレッチをする方法が壁を押す姿勢です。両手を壁につけて壁を押すことで、足の後ろ側の筋肉のストレッチに効果がありますし、腰が痛かったり、肩こりにも効果的ですので、是非行ってみてください。


おわりに
股関節、膝関節、足関節をしっかり使える動きは歩行です。黒野保三院長が2014年コラム「健康長寿の秘訣」に述べられておられますように、始めは15分からの散歩をお勧めいたします。筋肉の血行を良くしておいて帰ってきてからストレッチをして筋肉をいたわってあげることで硬い身体を改善することができます。急に柔らかくなるのではなく、徐々ですが、確実に変わってきますので続けてみてください。
もちろん、鍼治療にも血行を良くする効果がありますので、鍼治療と運動、ストレッチで怪我知らずの身体を手に入れてください。
記事に戻るコメント(0)を読む・書く
検索
キーワード

カテゴリ
よくある質問 (10)
コラム (123)
患者さんの声 (138)
活動内容 (52)
研究業績 (13)
糖尿病通信 (36)
講演・メディア掲載実績 (20)
適応症の治療案内 (103)
月別アーカイブ
2018年5月 (2)
2018年4月 (6)
2018年3月 (5)
2018年2月 (5)
2018年1月 (4)
2017年12月 (3)
2017年11月 (3)
2017年10月 (4)
2017年9月 (3)
2017年8月 (9)
2017年7月 (5)
2017年6月 (6)
2017年5月 (5)
2017年4月 (4)
2017年3月 (4)
2017年2月 (5)
2017年1月 (2)
2016年12月 (3)
2016年11月 (3)
2016年10月 (6)
2016年9月 (4)
2016年8月 (4)
2016年7月 (4)
2016年6月 (3)
2016年5月 (4)
2016年4月 (7)
2016年3月 (4)
2016年2月 (4)
2016年1月 (3)
2015年12月 (3)
2015年11月 (4)
2015年10月 (5)
2015年9月 (4)
2015年8月 (3)
2015年7月 (5)
2015年6月 (4)
2015年5月 (4)
2015年4月 (2)
2015年3月 (4)
2015年2月 (3)
2015年1月 (3)
2014年12月 (3)
2014年11月 (5)
2014年10月 (4)
2014年9月 (4)
2014年8月 (3)
2014年7月 (4)
2014年6月 (6)
2014年5月 (5)
2014年4月 (3)
2014年3月 (6)
2014年2月 (6)
2014年1月 (2)
2013年12月 (5)
2013年11月 (4)
2013年10月 (6)
2013年9月 (5)
2013年8月 (3)
2013年7月 (5)
2013年6月 (4)
2013年5月 (4)
2013年4月 (4)
2013年3月 (5)
2013年2月 (6)
2013年1月 (4)
2012年12月 (3)
2012年11月 (7)
2012年10月 (4)
2012年9月 (86)
2012年8月 (75)
2012年7月 (15)
2012年5月 (1)
2012年4月 (1)
2012年3月 (1)
2012年2月 (1)
2012年1月 (1)
2011年9月 (1)
2011年6月 (1)
2011年4月 (1)
2011年2月 (2)
2011年1月 (1)
2010年12月 (1)
2010年11月 (1)
2010年10月 (1)
2010年9月 (1)
2010年8月 (1)
2010年7月 (1)
2010年6月 (1)
2010年5月 (1)
2010年4月 (1)
2010年3月 (1)
2010年2月 (1)
2010年1月 (2)
2009年12月 (1)
2009年11月 (1)
2009年9月 (1)
2009年8月 (1)
2009年7月 (1)
2009年5月 (1)
2009年4月 (2)
2009年3月 (1)
2009年2月 (1)
2009年1月 (1)
2008年10月 (1)
2008年9月 (1)
2008年5月 (1)
2007年6月 (1)
2007年3月 (1)
2006年11月 (1)
2006年6月 (1)
2005年11月 (1)
2005年9月 (1)
2005年8月 (1)
2005年6月 (2)
2005年5月 (1)

友人に教える
お問い合わせ

ホーム
上へ
東洋医学研究所

東洋医学研究所
このサイトは携帯電話向けサイトです。
携帯電話でご覧ください。