痛みについて 東洋医学研究所?グループ 二葉はり治療院 院長  甲田 久士
2011-06-01 15:19
東洋医学研究所
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痛みに左右される気持ちや行動
 図3に示すように、ケガや神経の圧迫により痛みが生じた場合は、不安になったり落ち込んだりすることがあります。これは、痛みの影響で気持ちが揺れるというより、痛みの感覚と気持ちの揺れとが平行して動いて、お互いに悪い影響を及ぼし合うことによります。そして、痛みのために姿勢が悪くなって恥ずかしい、気力が衰えて仕事に就けない、動きたくないので家に閉じこもってしまうといった理由で社会での活動量が減ります。こうした傾向は痛みが長引けば長引くほど強くなります。

気持ちの有り様によって変わる痛み
 逆に、痛みそのものも気持ちの有り様によって変わります。たとえば不愉快な思い、睡眠不足や疲れ、不安感や恐怖感、怒りや悲しみ、ちょっとした気分の落ち込みなどによって痛みを強く感じます。独りぼっちでさみしく内向していたり、会社などで不遇をかこっているときにも痛みを強く感じます。逆に、病気中でも症状が改善傾向にあるとき、休んでいたり眠っているとき、気持ちの通じ合う人と触れ合っているとき、気晴らしをして気分が良いとき、いい便りが届いたり周囲が明るくて気持ちが落ち込まないような状況のときなどは痛みを弱く感じ、ときには痛みを忘れたりします(表1)。
 「痛み」は、ケガをしたり、臓器や神経に傷害があって起こるだけではありません。傷害が完治した後、どこにも傷がなくても起こることがあります。痛みの感じ方は、痛み刺激に対する個人の感受性、痛みへの注意の集中や過去の経験、周囲の環境など様々な因子に影響を受けます。
 また、喜怒哀楽などの情動を痛みとして感じることもあり、治療者が痛みの身体的原因をしっかり探らずに、容易に精神的なものが原因となっている痛みと判断するのは気をつけなければいけません。しかし、少なくとも精神的因子やストレスが痛みを増幅させるのは明らかです。
 鍼灸院に痛みを訴えて来院する患者さんには、私達鍼灸師は痛みに対して治療をして、痛みを軽減できても、家庭環境など患者さんが置かれている様々な状況が改善されなければ、痛みが取れないこともあります。
 このように「痛み」の原因は非常に複雑です。ですから、本当に患者さんの身になって治療をすることが鍼灸師には一番大切なのです。
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