免疫力は常に変化する 東洋医学研究所?グループ海沼鍼灸院 院長 海沼 英祐
2012-08-21 21:24
東洋医学研究所
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平成24年8月1日号

○はじめに
 近年、「人生を、より良く生きる」という考えのもと、健康に生きるために免疫学へ注目が集まっています。免疫力という言葉をよく耳にしますが、免疫力とはいったい何なのでしょうか?免疫力が上がった状態とは、どんな状態なのでしょうか?

○免疫力とは?
 免疫系は、細菌やウイルスなど、自分以外のもの(異物)や自分に害になるもの(外敵)が侵入してくると、それを認識して排除しようとするシステムです。ガン細胞のように、自分とは違う組織に対しても、戦って排除しようとします。
  この免疫系の主役が、白血球と呼ばれる細胞です。
 白血球は、血液成分のひとつです。血液は、血液細胞である有形成分と、血漿である液体成分に分けられます。有形成分の多くは赤血球ですが、それ以外に血小板と白血球が存在します。白血球には様々な種類がありますが、大きくは、マクロファージ(約5%)、顆粒球(約60%)、リンパ球(約35%)に分類できます。これらの白血球は、それぞれで役割が異なっています。必要に応じて、それぞれの白血球が連携プレーを行って異物や外敵を排除します。この異物や外敵を排除しようとする力が、免疫力と呼ばれているものです。

○免疫力が上がった状態とは?
 血液検査に、WBC(白血球数)という項目があります。基準値は、血液1ml中3600〜8000個と、かなり幅があります。これは、白血球の数が常に一定ではなくて、かなり変動するからです。通常は、基準値に収まる個数ですが、風邪をひいたり、怪我をしたり、ガンができたりすると、防御反応で白血球が急増します。時には、1万個にも2万個にも増えることがあります。
 変動するのは、白血球の個数だけではありません。先に述べたように、白血球には、顆粒球、リンパ球、マクロファージがあります。このうちマクロファージは数が少なく、血液中の白血球の95%を占めているのは顆粒球とリンパ球になります。平均的な比率は、顆粒球が60%くらいで、リンパ球が35%くらいとなっています。基準値の比率では、顆粒球が40〜71%ほどで、リンパ球が27〜47%ほどです。このように、顆粒球とリンパ球の比率も平均的な比率であって、常に一定というわけではありません。1日のうちでも、ほぼ一定のパターンで比率は変動しています。基本的に、活動している昼間は顆粒球の比率が大きくなり、夜のゆったりとした時間帯はリンパ球の比率が大きくなります。それ以外でも、季節や気圧の変化などの環境も、比率の変動に影響を与えていますし、体調によっても割合は変化します。正常な比率の範囲内でいる状態が、白血球が連携プレーを行うのに一番適した状態であるため、この比率が正常範囲内からはずれると、体内に何らかの異常が起きている可能性があります。
 比率の変動は、白血球の大半を占める顆粒球の増減が大きな影響を与えています。顆粒球は、寿命が2日間と非常に短いため、1日に半分の顆粒球を補給しなくてはなりません。そのため、ちょっとした環境や体調変化によって顆粒球が増減すると、その影響が白血球の比率に大きく影響を与えます。ちなみにリンパ球の寿命は7日前後と、環境や体調に合わせて比率と数がゆっくりと変動しています。
 先に述べた白血球数の増加と、状況に応じた白血球の比率変動が免疫力の上がった状態に深く関連します。体内に異物や外敵が侵入してきたときに素早く対応して、白血球数を増加させ、異物や外敵の種類に応じて白血球の比率を変動させて対応するからです。さらに、自分の体調が良い状態にあるときは、素早い免疫系の対応が期待できます。また体調が良いときの方が、自身の体内で生み出される白血球も、元気で強い白血球が生み出されます。
 このように、免疫力の上がった状態とは、自分の心と体が安定かつ充実した状態で、異物や外敵が体内に侵入してきたときに素早く対応できるような白血球数と白血球比率を保った状態といえるかと思います。

○おわりに
 鍼灸治療が免疫力の増強に良いとされる大きな理由は、鍼灸治療を受けることにより、心と体の安定した状態、充実した状態を得られることにあります。元気な体は、強い白血球を産生し、異物や外敵の侵入時には素早い免疫系の対応を可能にします。
 東洋医学研究所?黒野保三先生の生体制御療法は、まさにそうした体作りを考慮にいれた治療法です。ぜひ生体制御療法を受けてみてはいかがでしょうか。

参考文献:安保徹の病気にならない免疫のしくみ(ナツメ社) 安保徹
        長生き健康「鍼」(医学書院)黒野保三
        鍼刺激のヒト免疫反応系に与える影響(?〜?) 黒野保三
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