
痛みについて 東洋医学研究所?グループ 二葉はり治療院 院長 甲田 久士
痛みが心身両面へ影響を及ぼすことにより、なんとなく元気がなくなり、外出する機会も減って社会との交わりが少なくなり、次第に食欲不振、睡眠不足など日常の行動面にも影響が出てきます。その結果、学校へ行かない、仕事を休むといったように日々の生活が消極的となり、友達が少なくなったり、収入が減ったりします。
このように「痛み」という症状は、食欲不振、咳が出る、めまいがするといった一般的にみられる病気の症状に比べ、波及効果が大きい点で際立っています。また、体・心・行動・社会の状況が、逆に痛みを増強させたり、長引かせたりすることもあります。
痛みに対する医療の挑戦は何千年もの長きにわたり続いています。それは痛みが病気の初発症状であるばかりでなく、患者さんの社会活動制限など波及作用をも考えなければならないほど重要な症状だからです。だから時間が経てば自然に治るとか、我慢できるから大したことはない、大丈夫だという考えは大きな間違いです。
体の異常を伝える警報としての痛み
「痛み」を感じることは、体を脅かす危険信号としては必要なことなのです。
1)痛みの部位(どこが痛むのか?)
2)痛みの程度(どのくらい痛むのか?)
3)痛みの種類(どのような痛みか?)
が特定でき、それによって本人の自覚が高まり、日常生活において対応ができます。また医療サイドも正しい診断ができ、適切な治療が可能になります(図2)。
しかし、痛みはいつまでも続くことがあり、不快感や抑うつ感など感情の変化を伴うこともあるのが難点です。火災報知器でも誤作用を繰り返したり、鳴り止まない場合はスイッチを切りたくなります。痛みも、警報装置としては必要なものといえますが、やはり、厄介なものです。
<痛みがもたらす精神的・社会的波及作用>
痛みの発生している部位だけにケガや病気が存在しているととらえるのではなく、精神的・社会的波及作用が次の病気を招くほど、ほかへ影響するといった性質を有しているのが痛みです。

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